商談中の社長が社外の面談場所を指定する真意

【商談中の社長から社外の面談場所を指定する社長の真意】

〜自分のあさはかさに赤面する社長補佐官(R)〜

わたくしは、社長とお会いするときは、

出来るだけ、社長室に伺う様にしています。

社長は、

その会社で最も忙しい人。

社長の時間価値を

自分なりにしっかりと

自覚しておくためにも、

習慣的にやっていることが

あります。

それは…。

その会社の年商を営業日数で割り、

さらに1日あたりの営業時間で割ります。

そうするとざっくりではありますが、

その会社が1時間あたりで

どのくらいの金額を売り上げなければならないか、

ほんとうにざっくりではありますが、

当たりがつきます。

たとえば、

年商3億円の企業で、

年間営業日数が、260日、

1日あたりの営業時間が8時間

とすると…。

3億円 割る、

260日 割る、

8時間で

「毎時間 14から15万円程度の

売上げが計上されていくイメージなのかなぁ…、」

などど自分に言い聞かせます。

その社長が背負っている

数字を自分なりに思い描く事で、

大切なお時間を頂戴している事実を、

心に刻むのです。

そのスケール感と、

緊張感と責任感を抱いて

その社長にお会いしに行きます。

社長の時間価値を、

自分に言い聞かせる儀式です。

この計算式は、

何の根拠もない、

ただの感覚、

個人的なイメージというか

覚悟です。

「こちらから伺います」と提案した場合、

「別の場所で会いましょう。」

とおっしゃる社長は、

まずいらっしゃいません。

ある特定の状況を除いては…。

特定の状況とは、

社内では決して話せない話題の場合です。

役員人事のこと、

あるいは、社長ご自身の

ちょっと込み入ったプライベートの事、

等々…。

社長というお立場は、

公私共々ほんとうに大変なのですよね。

面談で、

社外の場所を指定された場合、

「ははぁ、

まあ、そうだよね…

確かにあの件は、

たとえ社長といえども、

または

社長であるが故、

社内じゃ話せないよね…。」

と思い当たる事があります。

ですが、

どうしても某社長については、

社外面談を指定される必要性が

思い浮かばなかったことがありました。

なぜ、お忙しい社長が

わざわざ移動時間を費やしてまで

外でお会いする必要があるのか…。

皆目、見当がつかない…。

しかも…。

その方は、

徹底されていて、

毎回、駅の近くの同じ場所を指定されます。

面談の内容は、

大切な経営のことには違いありませんが、

社長室でお聞きしても問題なさそうなことばかり…。

仕事柄、

たくさんの社長にお会いし

本当に色々なご相談をいただきます。

なかには、

ここには書けないような相談もあります。

 

でも、今回の社長は、

事業もそれ以外も、

ピカピカ。

 

 

さらに、

ある冬の朝には、

ご退院直後でギブスがまだ取れていないのに、

松葉杖をついて

例の社外の面談場所まで

来てくださいました。

なんだろう…。

どうしてなんだろう…。

社長補佐官としては、

気になって仕方なく…。

でも、

お聞きしていいものかどうか

失礼にならないか、判断しかね…。

とんでもない秘密を抱えておいでになるのかしら…

などと、妄想は膨らみ…。

ぐるぐると半年間悩み、

勇気を出してお聞きすることにしました。

「社長、

どうしても気になっていることがございます。

いつかお会いした時に、

質問してもよろしいでしょうか?」

こんな、メッセージをお送りしたところ、

翌日に社長からお電話がありました。

「そんな風に言われたら、

こちらも気になるから、

なんでも聞いていいよ…。」

との事。

「どうして、

社長は社外での面談をご希望されるのですか?」

「だって大久保さんは、タクシーで来るでしょう?

なんか悪いと思って…。」

「え〜〜〜〜っ、

そ、そんなぁ…。」

もう、申し訳ないやら、

下手な邪推をした自分が恥ずかしいやら…。

スマホを握りしめて、

赤面、

大汗かきました。

誠に失礼いたしました。

 

社長、

あの冬の寒い日、

大変な思いをして

松葉杖をついてきてくださった

あの時のお話、

時間切れで

最後までお訊きしきれていませんでした。

ご退院直後に

松葉杖をついてまできてくださった

あの時のお話しの続き、

今でもとても気になります。

社長、よろしければ

続きをお聞かせくださいませんか?

社長室でも、

いつもの場所でも、

ご指定のところに参ります。

社長補佐官(R)

大久保 優子